日本の冬季大会メダル獲得総数歴代1位となった平昌オリンピック。
そして本日閉幕を迎える平昌パラリンピックでも、連日日本勢のメダル獲得が報道されています。
日本における障害者スポーツは、2014年度より厚生労働省から文部科学省に移管され、ようやく「スポーツ」としての歩みを始めたばかりです。
東京2020を契機に、誰もが活躍できる「共生社会」の実現に向けて、国を挙げて社会的障壁の除去に取り組んでいます。
「共生社会」を実現する上で、最も重要なことの一つに障害者理解が挙げられます。
皆さんは障害者についてどれくらい理解できているでしょうか?
今回は、公益財団法人東京都スポーツ文化事業団主催スポーツリーダー研修(2018.2.24)での千葉祇暉さん(元陸上競技パラリンピアン)の講演をもとに、障害者スポーツについてご紹介したいと思います。
“♿”の本当の意味を知っていますか?
街中でよく見かける“♿”
皆さんは“♿”が何を意味しているのか知っていますか?
おそらく多くの方が「車いすのマーク」「車いすの方が使用できる設備」と認識しているのではないでしょうか?
でも実はその認識は正しくありません。
“♿”の本当の意味は「どなたでも安全に利用できる施設」、つまり車いすの方に限らずどんな障害をお持ちの方でも安全に利用できますということを意味しているのです。
内閣府では“♿”を以下のように説明しています。
障害者が利用できる建物、施設であることを明確に表すための世界共通のシンボルマークです。マークの使用については国際リハビリテーション協会の「使用指針」により定められています。
駐車場などでこのマークを見かけた場合には、障害者の利用への配慮について、御理解、御協力をお願いします。
※このマークは「すべての障害者を対象」としたものです。特に車椅子を利用する障害者を限定し、使用されるものではありません。
(内閣府:http://www8.cao.go.jp/shougai/mark/mark.html より)
パラリンピアンから見た“What’s your excuse ?”
1996年アトランタオリンピック・パラリンピックにて、千葉さんは“What’s your excuse ?”という言葉を至るところで目にしたそうです。
“What’s your excuse ?”を直訳すると「あなたの言い訳は何ですか?」
オリンピアンにとっては「負けた言い訳をするな!」といったように、自身を鼓舞する反語的表現になります。
しかしこの言葉、パラリンピアンである千葉さんにとっては、もう一つの意味を持ちました。
「障害を言い訳にするな!」
千葉さんによれば、当時の日本では「障害者=社会的弱者」として扱われており、“What’s your excuse ?”が指し示すもう一つの意味に感動を覚えたそうです。
「パラリンピアン(障害者アスリート)=トップアスリート」なのだと。
東京2020を成功させるためにはもっと障害者理解を!
千葉さんのお話から、日本の障害者理解はまだまだ足りていないと感じました。
“♿”の駐車場には高級車が停まっていることが多いそうです。
海外から来た人たちがそれを見たときに「日本の障害者はなんてお金持ちなのだろう」と思うのか、はたまた「日本はなんて障害者理解がない国なのだろう」と思うのか。
また“♿”のトイレを使いたいときに、障害のない人が使用していることが多いそうです。
下半身を自由に動かせない方は、尿意・便意を我慢する筋肉を動かすのが困難であるため、使用したいときにすぐ使用できる環境でなければならないのです。
東京2020を契機に「共生社会」の実現をするために、まずは障害者理解から始めましょう!
スポーツビジネスコンサルタント 小川 裕史