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総合型地域スポーツクラブの資金調達法<助成金>

こんにちは!

「スポーツで社会課題を解決する」を理念に活動しているスポーツビジネスコンサルタント・行政書士の小川裕史です。

今、大きな変革期を迎えている日本スポーツ界。

新型コロナウイルス感染症の影響が長引いており、もっぱらオリンピック・パラリンピック東京大会の開催の可否に注目が集まっていますが、日本スポーツ界に携わる者としては、その後へ向けて歩みを進めなければなりません。

その中で重要施策の一端を担うのが、総合型地域スポーツクラブです。

今回の記事では、総合型地域スポーツクラブの一番の悩みとも言える「資金調達」、特に助成金についてお話していきます。

補助金と助成金って何が違うの?

補助金は中小企業庁管轄のもので、助成金は厚生労働省管轄のもの。

補助金は基準を満たしていてももらえるかわからないけど、助成金は基準を満たしていればもらえるもの。

様々な定義がありますが、明確に定義されているわけではありません。

そのため、この記事でも「外部からもらえて、返さなくてもいいお金」とざっくりと捉えてもらえば大丈夫です!

さあ、それでは助成金をもらうためにどうするか、具体的に説明していきます!

助成金獲得までの5ステップ

 

ステップ1:助成金の活用を検討する

まず何といっても、助成金を受けるべきか否かを検討する、ということです。

返さなくてもいいんでしょ、もらえるものはもらっておこう、と考えていませんか?

これは、とても危険な考え方です。

なぜなら、お金をもらえる代わりに、詳細な報告書を求められるといった事務的負担が増えたり、申請した内容と違うお金の使い方をしたら減額、最悪の場合全額不支給になったりするからです。

助成金は、あなたのクラブの「活動」に対する支援であることがほとんどで、お金の使い道は非常に制約が厳しいものがほとんどです。

助成金は、「社会から受け取る責任を伴うお金」ということを心得た上で、本当に助成金を活用すべきか、しっかりと話し合いましょう。

くれぐれも助成金に依存したクラブ経営をしようとは考えないでくださいね!

その上で、クラブの活動方針に沿う適切な助成金がないか探してみましょう。

助成金は大きく、「公募型」「非公募型」の2種類があります。

<公募型の場合>

公募型は、いかにクラブの事業目的に合った助成金を見つけられるか、がカギになります。

●インターネットで探す

助成金の募集を行っている団体をどのように探すか?

もちろんピンポイントでその団体にたどり着ければよいのですが、なかなか難しいと思います。

そんなときは、以下のホームページで検索してみましょう。

「助成財団センター」 : http://www.jfc.or.jp/

「東京ボランティア・市民活動センター」 : https://www.tvac.or.jp/sagasu/?cat=joseikin

「環境らしんばん」 : http://www.geoc.jp/rashinban/event.php?clear=1&class=6

「J-Net21」 : https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/support/

すべての情報が掲載されているわけではないですが、多くの有益な情報を得られると思います。

●書籍で探す

インターネットだと検索技術が必要なので、クラブの目的に合った助成金を探すことができないかもしれません。

そんなときは、書籍で探してみましょう。

インターネットに比べて、更新頻度が低いためタイムリーな情報は得られませんが、毎年行われているような助成金を探すにはもってこいです。

おすすめは、以下の書籍です。

「NPO・市民活動のための助成金応募ガイド2020-助成財団」

「ボランティア・市民活動助成ガイドブック<2020-2021>」


助成金を選択する際のポイント!

・助成金を出す団体の理念や助成目的を見て、自身のクラブとの共通点があるか?

・助成対象のテーマや活動内容が、自身のクラブでやろうとしていることに合致しているか?

・助成対象の団体の要件(法人格の有無や実績等)を満たしているか?

・助成金額や助成割合の条件(自己負担等)を理解しているか?

・助成金の使途について、自身のクラブが希望する使い方と合致しているか?

・活動予定の期間と助成の対象期間が合致しているか?

・申請書類の内容や量を見て、受付期間内に十分な作成時間を設けられるか?

・審査プロセスを見て、過剰な負担にならないか?

・過去の助成先から見て、自身のクラブに可能性を見出せるか?


<非公募型の場合>

「非公募型」は、アピールがすべてと言えるでしょう!

非公募型というのは、いわゆる推薦のことです。

推薦されるためには、まず知られていなければ可能性はゼロです。

そして推薦ということは、審査はあってないようなものだということです。

このチャンスを掴むには、

こまめにコンタクトをとって、友好な関係性を築こう!

これに限ります。

公募型・非公募型のいずれも、助成金の対象になるのは、法人格があるクラブに限らず、なんと7割以上の助成金が法人格なしでも助成「対象」になるとのことです。

あきらめずに、地道に探していきましょう!

いろんな時期に、いろんな助成プログラムが申込・申請を受け付けています。

 

ステップ2:助成金の申請書を書く

さて申請する助成金を選択したら、必要な提出書類を確認して、早速申請書を書いてみましょう。

ここでは、間違っても「お金がないんです」アピールはやめましょう。

まずもって採択されません

逆効果になる場合すらあります。

資金計画をしっかり立てられないクラブなんだなとか、お金の管理ができないクラブなんだとか思われたら、もったいないですよね。

申請書を書くコツは、助成金を出す団体側の意向をくみ取る、つまりなんで助成するのか、どのような効果を期待しているのかを正確に把握するということです。

私たちのクラブはこんな活動をしています、今度このような活動をしようと思っていて、貴団体の助成事業にピッタリでしょ!というのを書面でアピールします。

そのため、まずは助成金の内容を把握して、その内容に合致するように箇条書き、その後文章化していくという流れだとポイントを押さえることができていいと思います。

書き終わった後は提出前に、第三者の目で確認してもらいましょう。

書いた人にはわかっても、初めて見た人はその用語を知らなかったり、文章の意味がわからなかったりするものです。

クラブの活動を知らない人が見ても伝わる内容になっているかは大事なことです。

 

ステップ3:助成金の申請書を提出する

さあ提出書類が揃ったら、提出です。

提出期限はいつまでなのか、提出先はどこか、提出方法はどのようにするのか、しっかり確認しましょう。

このような基本的な事項を見落として、審査に入る前に除外されてしまうのは、なんと全体の約1割にも及ぶというから驚きです。

せっかく時間をかけて申請書を書いたのに、こんなところでミスをしたら泣くに泣けません。

形式不備がないようしっかり取り組みましょう。

 

ステップ4:助成金申請の結果が出る

さあ提出書類はどのような観点で審査されるかというと、

 ①助成金の応募要件を満たしているか?

 ②団体のこと(組織概要、事業目的、活動実態、コンプライアンス面等)

 ③助成事業のこと(実現可能な事業か、適切な事業計画か等)

の大きく3つに分けられます。

採択されたら、実施、そして報告に向けて準備を進めましょう。

不採択であれば、なぜダメだったのか振り返る必要があります。

ほとんどの場合、採択・不採択の結果に関する問い合わせ対応や理由の開示は行われません。

不採択が続くようであれば、しっかりと原因を分析することが必要ですね。

 

ステップ5:助成事業を実施して報告する

採択されたら、申請内容に忠実に実施していきます。

間違っても申請内容と異なる使い方をしてはいけません。

助成金額が減額されたり、最悪の場合全額不支給になってしまったりする可能性もあります。

ちなみに助成金は単年度で支給されることが一般的なので、毎年助成金をもらってその活動をしようとは考えない方がいいでしょう。

来年度から自立してその活動を行うことができるように仕組化していきましょう。

 

実はお金だけではない…

 

実は、助成が行われるのは、「カネ」に限ったことではありません。

パソコンがほしい、競技備品がほしいといった「モノ」でもいいんです。

モノの助成、つまり物品寄付というものがあるんです。

「うちは〇〇(もの、技術・専門性の寄付、場所、情報、コネクション等)の寄付を募っています」としっかり表明しましょう!

どこに寄付すればいいのかわかっていない助成団体も意外とあるんです。

ボランティアセンターのホームページに載せてくれることもあるようなので、

しっかりと自分たちがほしいものをアピールしましょう!

今回は以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

スポーツビジネスコンサルタント・行政書士
小川 裕史